お知らせ
ストレスによる体の不調
学校や職場での身体的疲労や人間関係での悩み、朝の満員電車、家事や子育てなど、ストレスとなる要素はたくさんあり、生活している上でストレスは誰もが多少なりとも感じていると思います。また成熟した社会の中において、相手の期待に応えるために、社会のシステムに合わせるために体の状態を顧みず、ムチを打って体に負担をかけ続けてはいないでしょうか。
ストレスは身体に悪いものと思われがちですが、全てのストレスが悪いのではなく、適度なストレスであれば体に緊張感を与え、生活にメリハリをつけてくれます。ストレスにも肉体労働やケガ、病気といった身体的ストレスと悩み、不安、怒、快不快などの精神的ストレスがあり、これらのストレスが短期間であれば体への影響は少ないですが、長期間にわたりストレスがかかり続ければ心と体は徐々に弱っていき、症状として体にあらわれてきます。
ストレスと体の関係
ストレスは仕事や家事、人間関係で日々感じることがあるかと思いますが、そのストレスは大脳の一部である大脳辺縁系という場所で生じています。大脳辺縁系というところは食欲、睡眠、性欲などの本能的欲求や快不快、悲しい、怒り、恐怖などの感情・情動をつかさどっています。そして大脳辺縁系で生じたストレスはすぐ下の領域にある視床下部というところに作用し様々な生理反応を引き起こしますが、この視床下部は生命維持をしていく上でとても大事なところなんです。
視床下部は自律神経系、内分泌系(ホルモン系)、免疫系をコントロールする中枢であり、私たちの体は、この三者の機能を視床下部がうまく調節してくれるおかげで、気温や気圧等の外部環境の急激な変動があっても、体内環境(体温や血圧等)を一定に保つことができるのです。前回お話いたしました、交感神経や副交感神経である自律神経系の問題、ホルモンバランスの問題、免疫系の問題のほとんどは視床下部の機能低下が原因であらわれます。日々生活の中で生じる適度なストレスでは視床下部に作用して、自律神経系、内分泌系、免疫系を介して、体がストレスに負けないように順応しようとします。この反応はストレスから身を守る“防御反応”として体になくてはならない反応なんですが、過剰なストレスや長時間のストレス状態が続くと視床下部は疲弊してしまう上に、コントロール下にある自律神経系、内分泌系、免疫系のバランスも乱れてしまい、体に様々な症状を引き起こします。
ストレスが原因でおこる症状
ストレス増大は視床下部から放出されるホルモンが増え、そのホルモンが中枢(心)に作用すると不安やイライラが生じ、身体に作用すると自律神経失調症などの症状があらわれます。具体的にどのうような症状が体にあらわれるかというと
- 座位や臥位から急に立ち上がった時にあらわれる、めまいや立ちくらみ
- 過呼吸症候群
- 片頭痛や筋緊張性頭痛
- 耳鳴り、難聴、めまいを伴うメニエール症候群
- 首、肩コリの悪化、易疲労
- 食欲不振や動悸、不眠症
- 冷え、のぼせ
- ホルモンバランスの乱れによる生理不順、生理痛、不妊
- 喉の異物感、つっかえ感
- パニック障害
また、自律神経系、内分泌系、免疫系の中枢は視床下部という同じ領域にあるため、お互いに影響し合っていて、一つの系統でトラブルが生じたら他の系統まで影響が及ぼしやすくなります。新潟大学医学部名誉教授 故阿保徹先生は自律神経と免疫系の関連性を研究をされていた偉大な方で、阿保先生の一連の著書には「交感神経が緊張すると免疫系の顆粒球が増え、副交感神経が働くと免疫系のリンパ球が増える」 と伝えております。つまり不安、イライラ、心身の疲労などでストレス状況下にある時は、交感神経の高まりによって顆粒球が増え、心身リラックスして体が休息している時は、副交感神経の高まりによってリンパ球が増えているということになります。顆粒球やリンパ球は病原体から体を守ってくれる大事な免疫細胞ですが、ときに交感神経が過緊張して顆粒球が増えすぎると、逆に体に不利益な反応が起こり、さまざまな疾患を引き起こしてしまいます。阿保先生によると顆粒球の増加は、自分の体の組織を破壊し胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群、慢性関節リウマチ、がんなどの原因になるといっております。
ストレスによる体の不調を軽くするコツ
同じストレスの状況下に置かれていても、そのストレスに対しての受け止め方は人それぞれ違い、平然としている人もいれば、それを引きずってしまったり、それがきっかけで体調を崩す人がいたりと症状がでるかでないか、症状の出方や程度は人それぞれ異なります。それはその人の性格、気質などによりストレスによる対処適応能力が違うからです。とくに性格として多いのが「生真面目」「几帳面」「妥協を許さない」といった自分に厳しい方に多く見受けられます。また仕事一辺倒にもくもくとこなすタイプの人は、あることがきっかけで一度つまずいてしまうと、崩れ落ちるように体調が悪化しすくなります。
性格というものは持って生まれたものですから簡単には変えられませんが、症状がでるということは体からの信号でもあります。まず「少し妥協する」「自分に甘える」「自分を労わる」というところから初めてみてはいかがでしょうか。
そしてつらいこと、悲しいこと、イライラすること、不安に思うことは全部吐き出しましょう。今持っている感情を理性で押さえつけてしまうと、視床下部が制御不能になり自律神経系、内分泌系、免疫系に影響が及び様々な症状を引き起こします。気心知れた友達や会社の同僚としゃべったり、楽しいことをして発散したり、時には泣いたりすることも大事です。一瞬でもいいので嫌なことから解放しましょう。
お風呂が嫌いでなければ、熱すぎないお風呂にゆっくりとつかりましょう。体の芯まで温めることでとてもリッラクスでき、副交感神経が働きます。
鍼灸治療はストレスによって引き起こされる症状を軽減するだけではなく、脳の神経伝達物質でリラックス効果のあるセロトニン、症状の発現を抑えるオキシトシン、鎮痛効果のあるエンドルフィンの分泌を促す効果があるといわれています。不定愁訴でお悩みの方、なかなか治らないなどお困りの方は鍼灸治療を試されてはいかがでしょうか。また当院では気の流れを促進させ、リラックス効果のある薬膳茶をつくっております。
自律神経に起因する症状
「動悸がして息苦しい」「めまいや耳鳴りがする」「なんだか体がフワフワして転びそうになる」
「首や肩の凝りが強い」「体を休めてるつもりでもだるくて疲労感が抜けない」
でも病院で診てもらっても、原因がわからなくて適切な処置が受けられない。
では一体どうすればいいんだろう.......。
人生でこのような経験が一度はあるのではないでしょうか。
これらの症状の多くは自律神経の乱れから生じているケースです。
生活環境や職場でのストレス、人間関係の悩み、疲労の蓄積などストレス社会に生きている私たちの心や体はこのようなスト
レスに対して容易に崩れやすく、それが原因で病気に発展するケースは少なくありません。
自律神経とは
自律神経とは内臓機能を調節している神経のことを言います。心臓は止まるわけにはいかないので寝て
いる時でもトントンと心臓が動くように働きかけ、起きている時は血液が重力によって下がらないよう
に血圧をコントロールしていたり、胃や腸で消化吸収のコントロールをしていたり、常に体内環境を一定に
保とうとしています。それも自分の意思とは関係なしに無意識下で内臓をコントロールしている高性能
な神経なのです。
その自律神経は大きく分けて2つに分けられます。
交感神経・・・緊張時、恐怖感、イライラしている時、興奮している時に強くはたらきます。
血管を収縮させ血圧を高める、心臓を働かせ心拍数を増やす、胃腸の働きを抑え
緊張させるなど車に例えるとアクセルの役目を果たします。
副交感神経・・・主にリラックスしているときに働いていて、ブレーキの役目を果たしています。
血管を弛緩させる(血流を促す)、心臓を落ち着かせ脈拍を減らす、胃腸での消化吸
収を促しエネルギー補給を行うなどの働きがあります。
この交感神経と副交感神経は一対ずつ内臓を支配し、拮抗しながらシーソーのようにバランスをとっていま
す。自律神経は一定のリズムや周期があり、起床後から日中活動時は交感神経が優位に、日没後から段々
と副交感神経の活動が高まり、睡眠中には副交感神経が優位になります。これが自律神経本来の正常な働き
なのですが、ストレスの蓄積や情緒不安定、疲労の蓄積、生活習慣の乱れなどにより自律神経のバランスは
段々と崩れていきます。この自律神経の乱れは様々な症状となって体にあらわれます。
「めまいやふらつき、耳鳴りがする」「睡眠はとれているが寝た気がしない」「常に体がだるい」「首肩こ
りが気になる」「手足が冷える」といった症状は背景に病気が隠れていることもありますが、原因がわからな
いそのほとんどは交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがスムーズにおこなわれていないためにあらわ
れている症状なのです。多くは交感神経優位になりやすく加齢とともに副交感神経の機能は衰えてきますので
そうなると家で休んでいる時や睡眠時にも交感神経は亢進状態にあり、血流は滞り、内臓は緊張しっぱなし、
疲労感が抜けなくなるのです。(副交感神経優位の時もあります)
鍼灸治療の目的の一つは、体表からの刺激を介して自律神経にアプローチすることにあります。これまでの研究結果
には、鍼灸刺激が亢進した自律神経には沈静化させる働きがあり、逆に自律神経の働きが悪い時には活性化させる働
きがあるという報告があります。臨床でもこれまで治らなかった症状が良くなったと喜ばれる患者さんが何人もいら
っしゃいます。長年症状に苦しんでいる方、治らないと諦めかけている方、多くの症状に悩んでいる方は一度鍼灸治療
を体験してみてはいかがですか。
腰痛とその特徴
人生で一度は経験してるであろう腰痛
平成28年実施の国民生活基礎調査で腰痛の有訴者率は
男性では1位 女性では2位となっています。
腰痛は
腰椎椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症 脊椎分離・すべり症 変形性脊椎症、のような構造に変化がありレントゲン画像やMRI画像などの検査で原因が特定できる特異的腰痛と画像所見や血液検査などをしても原因がわからない非特異的腰痛に分けられます。
今や国民病と言われているほど非常に多い腰痛ですが、実は腰痛を訴える人の約85%は非特異的腰痛で
診断名には「腰痛症」とか「坐骨神経痛」などとつけられています。
腰痛のほとんどが原因のわからない非特異的腰痛ということですが、これは単に画像や数値にあらわれないだけであり、徒手的検査や理学検査をすれば原因はみつかります。
では何が原因で痛みがでるかというと
- 腰部、臀部周辺の筋筋膜性の問題
- 筋力低下による問題
- 腰椎椎間関節の問題
- 股関節腰部周辺の関節柔軟性低下による問題
- 胸郭(肋骨で覆われている部分)の可動性低下
- 腰椎椎間板の問題
- 手足の動きと体幹筋との協調性の問題
肩こりについて
患者さんが訴える症状で特に多いのが肩こり。
現在では長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などにより、肩こりは私たちにとって避けられない症状でもあります。
場首から肩の張りや痛み、首の後ろ側から後頭部あるいは側頭部にかけて放散するつっぱり感などの症状がみられる「肩こり」は、特別な病気が見当たらない頸肩腕症候群が多いですが、20代だと胸郭出口症候群、中高年では頸椎椎間板ヘルニア、頚椎症や後縦靭帯骨化症などの病気のこともあります。
肩こりで一番多いとされる「頚肩腕症候群」ですが、主な原因は首、肩、肩甲骨周辺の筋肉疲労です。人は寝ている時以外、体を支えるために筋肉は常に緊張しています。特に活動時は視野を確保しなければいけないため、立っている時や座って作業している時でも首や肩周りの筋肉は頭を持ち上げて、常に緊張を保っています。主に疲労しやすい筋肉は僧帽筋、肩甲挙筋、板状筋、菱形筋などがありますが、これらの筋肉が疲労してくると、筋肉は縮こまって過緊張をおこし、血行不良が生じます。そして血行不良に陥ることで乳酸や炎症物質を流すことができず、そこに蓄積していき痛みがおこります。
首の骨(頸椎)には約5,6㎏ぐらいの重さがある頭がのっていて、その頭を首肩周りの筋肉が支えています。
頭の傾ける角度により首肩にかかる負荷は増大する
米ニューヨーク市の脊椎専門のクリニックのケネン・ハンスラージ先生によると、頭が前に
15度傾けると12㎏、30度傾けると18㎏、40度傾けると22㎏、60度傾けると27㎏
の負荷が頸椎、首肩周辺の筋肉にかかると言っています。
つまり頭が前に、下に、傾けば傾くほど首肩にかかる負担は増大していくことになります。
「肩こり」は姿勢不良からくる筋疲労が原因でおこること多いですが、その他にも長時間の同じ姿勢の維持、目の酷使、ストレスや冷えも
肩こりに関係しております。
また肩こりが悪化すると
- 締め付けられるような頭の痛み
- めまい、吐き気、嘔吐、ふらつきなどを伴う自律神経症障害
- 視力の低下、目の痛み、目の乾き、かすみ目
- 噛み合わせが悪い
- 手のしびれや冷え
など様々な症状があらわれます。
肩こり歴が長ければ長いほど治りづらくなりますので、少しでも調子が悪いと感じたら早めに治療することをおすすめします。
当院では症状の施術だけではなく、痛みやストレスに負けない体づくりをモットーに運動療法を行っておりますので、少しでも
気になることがあればお気軽にご相談ください。