お知らせ

2020 / 06 / 04  14:34

更年期障害

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女性の平均閉経年齢は50歳頃とされ、50歳前後の5年間(45歳~55歳)を更年期と呼びます。閉経年齢は個人差があり、40歳前半で閉経になる方もいます。

更年期障害は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量の低下によって生じ、自律神経症状を中心とした多種多様な症候群をいいます。

またその個人を取り巻く生活環境や心理的要因によって自律神経症状を悪化させたり、様々な症状を引き起こしやすくなります。

 

女性は年を重ねていくごとに、そして月経、妊娠、出産を経験することによってホルモンバランスは大きく変化していきます。

特に更年期は卵巣の機能が低下することで女性ホルモンである「エストロゲン」というホルモンが著しく低下していきます。月経は脳の視床下部からの指令により卵巣からエストロゲンやプロゲステロンが分泌されることによって維持されています。卵巣の機能が低下することによってエストロゲンが分泌されなくなると、視床下部の指令通りにエストロゲンが分泌されないために、視床下部の機能失調を引き起こします。その影響は視床下部にある「自律神経中枢」にもおよび、自律神経に関連する様々な症状が生じます。

年を重ねると段々とホルモンの量が少なくなっていきますが、必ず症状が発症するわけではなく、更年期でも症状がなく日常生活を送っている方もいて、症状の増減はその個人の体質や心理的ストレス、社会的な立場などにより変わってきます。

 

(症状)

 

自律神経症状:のぼせ、冷え、ほてり、発汗

 

運動器症状:肩こり、腰痛、筋肉痛

 

精神的症状:憂うつ、焦燥感、イライラ、易怒、不安感

 

その他に全身倦怠感、不眠、頭痛などがあります。

 

 

(更年期障害における中医学的考え方)

 

中国の最古の医学書である「黄帝内経素門」には男性は8の倍数、女性は7の倍数の年齢の時に節目を迎え、体に変化が訪れると言っています。

この体の変化には五臓の「腎」の機能が大きく関わっています

五臓とは中医学でいう内臓を意味しており、五臓には「肝」「心」「脾」「肺」「腎」がありますが、現代でいう内臓を指しているわけではなく、五臓とは生命活動に必要な機能を5つに分類したものを指し、それぞれの機能を「肝」「心」「脾」「肺」「腎」にあてはめています。

腎とは人間の成長、発育、生殖を司り、先天の気(=腎精)と呼ばれる両親から受け継いだ気を蓄えています。この腎精が充実している間は体は丈夫で、ホルモンもしっかりと分泌されるため、生理機能も正常に保たれます。

男性は32歳、女性は28歳で腎精の働きは最も盛んになり、心も体も充実していて丈夫ですが、それ以降は歳とともに徐々に腎精が少なくなっていき、体の機能も下降していきます。

通常、加齢によって緩やかに腎の機能は衰えていくものですが、生活習慣の不摂生、ストレスや疲労の蓄積などの要因があると、腎の機能は急激に低下して、閉経を早めたり、更年期障害が発症しやすくなります。

 気血水の観点から見ていきますと、女性は月経、妊娠、出産などを経験することから、常に血が足りなくなっていて(血虚)、気の流れは滞りやすくなっています(気滞)

血虚は手足の痺れやめまい、ふらつきを生じ、気滞はイライラしたり、緊張や不安などの精神的ストレスが現れやすくなります。また気滞があると、気は上昇しやすくなり(気逆)、上半身に気が溜まっていきます。気逆はのぼせ、顔のほてり、頭痛など、症状が体の上半分に出現します。

 

更年期障害は自律神経失調による症状が中心であるため、一般の検査では異常が見つからないことが多いです。加えて、その時の体調や心理的ストレス、体の疲労の程度によって、症状の出方は変化していきます。

鍼灸治療は

  • 乱れやすい自律神経機能を整える
  • 筋緊張を緩和する
  • 精神的ストレスを和らげ、リラクゼーション効果を高める
  • 肩こりや腰痛などの運動器疾患に対しての鎮痛効果

を目的に施術していきます。

また症状は同じでも、体の状態は人それぞれ違います。五臓六腑のどの部分の機能失調なのか、気血のバランスは保たれているのか、体に冷え、あるいは熱がとどまっていないかなど、その方の体の状態を総合的にみて施術していきます。年とともに症状が強くなっている、日常生活に支障がある、長期にわたり症状が続いてお困りの方はお気軽にご相談ください。

 

 

 

2020 / 05 / 26  09:20

気血水の偏りによる分類と症状

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人の体には「気」「血」「水」が流れており、エネルギーや栄養、潤いを供給しています。この3つの要素が充実して、滞りなく流れていれば心身は健康を保つことができます。

気血水はお互いバランスを取りながら働いているため、3つのうち一つでも過不足や滞りが生じると、お互いのバランスが崩れ症状が現れやすくなります。

首や肩が凝る、腰が痛い、手足が冷える、食欲がないなど、日常生活で訴えることが多い症状ですが、「気」「血」「水」の観点から考えると、同じ症状にみえても、例えば“気”が少なかったり、“血”が滞っていたり、あるいは“水”が多すぎたりと人それぞれ症状を引き起こしている病態は異なります。

 

 

気が少ない(気虚)

 

生命活動の根本をなす気(エネルギー)が少なくなった状態です。

  • やる気が出ない
  • 疲れやすい、体が常にだるい
  • 汗をかきやすい
  • 食欲がない
  • 免疫力が低下しがちのため、風邪をひきやすい
  • 胃がもたれる
  • 下痢をしやすい
  • 体が冷える

慢性の疲労や過労は気が消耗してしまうため、気が少なくなる原因になります

また食物を消化・吸収して気を生成する働きがある脾胃(五臓六腑)の機能が低下することによって、食べ物から「気」を作り出すことができなくなるため、気虚をおこします。

生まれつき気が少ないケースもあり(先天の気の不足)、いわゆる虚弱体質のほとんどは気虚の状態です。

 

(対策)

気は体を使えば使う程、消耗していきます。日々の労働や運動でも気は消耗されてしまいますので、疲労の蓄積はなるべく避けて、日々体のケアを行い、疲れを残さないようにします。そのためには十分な睡眠をとり、食事は冷たいものは避け、温かいものを中心に摂取しましょう。

気を補う食材としては米、イモ類、豆類、かぼちゃ、キャベツ、しいたけ、カツオ、さばなどがあります。また同時に気の流れを促す作用の食材を摂取することで、より気の作用を高められるので一緒に摂取しましょう。気の流れを促す食材としてはそば、たまねぎ、長ネギ、柑橘類などがあります。

 

 

気の流れが悪い(気滞)

 

気の流れが悪くなり、滞っている状態。

  • 精神的に情緒不安定で、よくイライラしてしまう
  • 不眠
  • 憂鬱
  • お腹、季肋部周辺が張る
  • 喉に違和感がある
  • よくせき払いをする

気の流れが悪くなる一番の原因はストレスによるものです

 

(対策)

ストレスにより気の流れは滞りやすくなりますので、ストレスを溜め込まず、まずはリラックスすること。

香りのいいものは気の流れを良くする効果があるといわれています。オレンジやみかんなどの柑橘類、紫蘇、ハーブは気の流れを促し、気分的にリラックスすることができます。ご自分の好きな香り、リラックスできる香りを見つけてみましょう。

 

 

血が少ない(血虚)

 

体に栄養や酸素を届ける血が少なくなっている状態です。

  • 顔色が蒼白
  • 肌が乾燥している
  • 眠りが浅い、よく夢をみる
  • 目が疲れやすい
  • めまいや立ちくらみ
  • 手足のしびれ
  • 足がつる
  • 生理不順

食物から血を生成する脾胃の機能や、血を貯蓄する肝(五臓六腑)の機能が低下すると血虚になりやすいです。その他、目の使い過ぎによっても血は消耗されます

 

(対策)

目と血の関係性は深く、目を使いすぎると血は消耗され、逆に血が少ないと眼精疲労を感じやすくなります。そのため目を休息させる時間を増やし、画面を見る時間をなるべく減らしましょう。

血を増やす食材にはニンジン、小松菜、ほうれん草、落花生、肉類などがあります。

 

 

血のめぐりが悪くなっている(瘀血)

 

血がドロドロになって、血行が悪い状態、あるいは血の塊を形成して体内で悪さをしてしまっている状態です。

  • 慢性の肩こりや腰痛
  • 頭痛がある
  • 顔がくすんでいる
  • しみやそばかすができやすい
  • 目にクマがある
  • 生理痛が強い
  • 生理不順がある

血の流れが悪くなる原因としては冷えや脂っこい食べ物の過剰摂取、ストレスなどがあります。

体のエネルギーである「気」は血を動かす作用もあるため、気虚や気滞によって血を動かせなくなると瘀血が生じやすくなります。瘀血は特に女性特有の症状と関連が強く、瘀血があることで生理不順や生理時の強い痛みを伴います。

 

(対策)

まずは体を冷やさないように保温することを心がけましょう。その上で疲労やストレスによっても瘀血を生じやすいので、体の十分な休息をとり、疲労やストレスを溜めないようにしてください。

血のめぐり良くする食材としてはチンゲン菜、黒豆、にんにく、らっきょう、お酢、そば、玉ねぎ、柑橘類などがあります。

 

 

水が過剰にある(痰湿)

 

体内に余分な水分が溜まっている状態です。

  • 体が重だるい
  • めまい、ふらつき
  • 吐き気、嘔吐
  • 食欲がない
  • 足がむくみやすい
  • 下痢をしやすい

水分代謝が悪くなると体に水分が溜まりやすくなります。五臓六腑の「脾」「肺」「腎」「三焦」は水分代謝にかかわり、これらの機能低下によって痰湿が生じやすくなります。また水分の過剰摂取も体内に水分が溜まりやすくなります。

 

(対策)

適度な運動や入浴で汗を流しましょう。

水分を排出する食材にはハトムギ、小豆、大根、スイカ、冬瓜、セロリ、きゅうりなどがあります。これらの食材の多くは体の熱を冷ましてしまう作用もあるため、冷え性の人は温かく調理した状態で食べてください。

 

 

「気」「血」「水」の機能失調によって、それぞれ「気虚」「瘀血」「気滞」というように単独で症状を引き起こしている場合もありますが、「気」「血」「水」はお互い影響し合っているため、気が少なくなることによって血も少なくなったり(気血両虚)、水分代謝が低下して水の停滞(痰湿)を引き起こすこともあります。また気が滞ると、血の循環も停滞して瘀血を形成してしまうことも多いです。

症状が多く不定愁訴がある場合、気、血、水の病態が複雑に絡んでいる可能性があります

鍼灸治療では気血水を含めた体のバランスを総合的にみて、患者さんの体質、症状、状態に応じて治療を行っていきますので、症状が同じでも施術方法や養生方法は人それぞれ違います。症状はあるけれど、原因がわからず悩んでいる方、長期にわたり症状に苦しんでいる方は一度ご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

2020 / 05 / 18  21:21

未病とは

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病気ではないけど、何となく調子が悪い…

体の調子が悪くて病院で検査を受けても、異常が見つからないために有効な治療手段がなく、症状がだらだらと続いている。

この体の状態を中医学では「未病」といいます。

 

未病とは「病気ではないが体の不調があり、健康ではないこと」を指します。誰でも最初は健康な体をもっていますが、中医学では病気になる時は、いきなり病気になるわけではなく、健康な状態から「未病」を経て、病気になると考えられています。(健康→未病→病気)

体がだるい、肩のコリが強い、手足が冷えるなど、西洋医学では異常が認められない体の異常は、体内のバランスが崩れた状態であり、何もしないでいると自然治癒力や免疫力が低下していき、病気になってしまう可能性が高くなります。

中医学では病気になってから治療するのではなく、“未病”の状態から治療して日々の健康を保つ大切さを訴えています。まずは体の状態を知り、その上で病気を予防したり、体から発するシグナルに耳を傾け、少しでも異変を感じたら早めに対処する、そうすれば快適に日常生活を過ごすことができます。

鍼灸などの東洋医学では、体内のバランスが崩れた結果、病や体の不調が現れると考えられています。

鍼灸では治療に入る前に様々な方法で体の状態を調べますが、その体の状態を知るものさしとして「陰陽」、「虚実」、「寒熱」、「気血水」、「五臓六腑」があり、これらの基準に従って、体の状態を総合的にみていきます。

特に体の状態を知るうえで、重要な要素の一つとして「気・血・水」があります。

 

○気とは

 

気は生命活動の原動力(エネルギー)であり、すべての生理活動に携わります。

内臓機能を促進させ、新陳代謝を高める

体を温める

ウイルスや病原菌から体を守る

血や水が体内から不用に排出しないようにする

などの働きがあります。

「気」は

両親から受け継ぎ、生まれながら持っている「先天の気

呼吸や食物など日常生活から得られる「後天の気」

に大別されます。

先天の気は五臓の“腎”に保管され、人間の成長、発育、生殖に関わり、生命の根本をなす気となります。加齢によって先天の気は減少していくため、先天の気の減少は老化を意味します。

後天の気は五臓の“脾”の働きによって食物から生成され、あらゆる生理活動を支え、身体機能を維持する役割があります。「先天の気」は後天の気によって補充されます。

脾の機能が失調することで食物から「気」が生成されなくなると、充分な「気」が全身に供給されなくなるため、症状として疲れやすくなったり、体が冷えたり、風邪を引きやすくなったりします。

またストレスや疲労は気が消耗するだけではなく、気の流れも悪くなり(気滞)、気滞があるとイライラしたり、常にお腹張ったりして、どこかスッキリしない感じがあります。気が喉に滞ると喉の違和感もでてきます。

 

○血とは

 

血は食べ物によって作られ、酸素や栄養を各組織に供給します。

何らかの原因により、血が不足(血虚)すると、目がかすむ、眼精疲労、顔色が悪い、不眠、月経不順、手足が冷えるなどの症状がみられます。

「気」は「血」も動かす働きがあるため、気の流れが悪いと血の流れも滞り(瘀血)、目の下にクマができたり、肩こりや腰痛、生理痛など血が滞った場所で慢性的な痛みを引き起こしやすくなります。

 特に女性は「血」との関わりが深く、女性の特有の不調は血虚や瘀血による影響が多いです。

 

 ○水(津液)とは

水(津液)は涙、汗、尿、関節液など血液以外の体液のことを指します。

水は五臓の“脾”の機能によって食物から抽出され、“肺”によって全身に散布されます。また不要になった水は“腎”や“膀胱”の働きによって尿として排出されます。

水は肌や髪、爪などの組織にツヤや潤いを与え、乾燥を防いだり、さらに関節の潤滑油の役割も担い、関節の動きを滑らかにするなどの働きがあります。

水分代謝に関わる“脾”、“肺”、“腎”、“膀胱”の機能が低下すると体内に余分な水分が蓄積し(痰湿、水毒)、体が重だるくなったり、めまい、嘔吐、食欲不振などの症状があらわれます。

 

気・血・水は独立した機能を持ちながら、お互いが協調しながら働いています。この三者のうち、どれか一つでも不足したり、滞ったりすると、お互いのバランスが崩れてしまい、結果症状があらわれやすくなります。これが「未病」の状態にあたります。

症状が軽いうちは自然治癒力により回復することがありますが、症状が段々と悪くなっていたり、慢性化している場合、自然治癒力や免疫力も低下していることが多く、自然に回復することが難しくなります。このようなケースは症状を軽減させることも大事ですが、まず体全体の状態を把握したうえで、体のバランスを整える必要があります。症状があり、段々と悪くなっている、長期間症状に悩まされている方はお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

2020 / 05 / 15  11:31

頚肩腕症候群について

頚肩腕症候群について

頚肩腕症候群は普段聞き慣れない言葉かもしれませんが、仕事や運動など、よく体を使う人であれば罹患する可能性が高い症状の一つです。

頚肩腕症候群とはその名の通り、首から肩、肩甲骨周辺、腕にかけてコリや痛み、だるさが生じ、病院で検査を受けても、どこも異常がない場合にこの名前がつけられます。

主な原因は筋肉の酷使によることが多く、首であれば頭半棘筋後頭下筋頭・頸板状筋斜角筋胸鎖乳突筋が、肩部は僧帽筋肩甲挙筋が、肩甲骨周辺は菱形筋棘下筋などが疲労することによって過緊張をひきおこし、コリや痛み、腕への放散痛があらわれます。

 

首肩の筋肉の過緊張による影響

 

頭痛

頸椎からは頭の知覚神経である大後頭神経や小後頭神経がでていて、首の筋肉の疲労によって過緊張を起こすことで、これらの神経を圧迫し、頭痛が生じます。この頭痛は緊張型頭痛といい、頭痛の約9割を占めます。特に筋疲労が出る夕方あたりから出現することが多く、後頭部や側頭部が締め付けられるような痛みがあらわれます。

 

腕のだるさや痺れ、手の冷感

腕の神経や血管は頸椎から出て腕の方まで走行しているため、首の筋肉である斜角筋などの過緊張によって神経や血管が圧迫を受けると、腕のだるさやしびれが生じたり、手が冷たく感じられます。

 

自律神経の乱れ

首には脳へ走る椎骨動脈があり、その椎骨動脈の周りには自律神経である交感神経が覆っています。首の筋緊張がこの交感神経を刺激すると、めまいやふらつきが現れます。また強い肩こり感によるストレスで自律神経が乱れることもあり、その場合、悪心嘔吐などの自律神経症状がでてきます。

 

以前「肩こり」のところでもお伝えしましたように、頭が前に傾けば傾くほど、あるいはアゴが前に出れば出る程、首肩周辺の筋肉にかかる負担は大きくなります。長時間の座位姿勢は徐々に姿勢が崩れていきやすいため、頭や腕を支える筋肉には負担が大きくのしかかります。

長期にわたって首肩のコリや痛み、腕のだるさを感じている場合、姿勢が崩れていたり筋力や筋の柔軟性が低下している可能性もありますので、筋緊張を除去するだけではなく、軽度の筋力トレーニングや柔軟運動も行っていく必要があります。

肩こり感が強い、腕にしびれやだるさがある、鎮痛剤を飲まずにはいられない、このように体の不調を抱えている方はお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

2020 / 05 / 08  13:33

体の冷え(冷え性)

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「若い頃は寒い冬の時期でも何ともなかったのに、年のせいなのか最近はやけに手足が冷える、体の冷えを感じる」と思われている方もいるのではないでしょうか。

冬の時期はもちろん、暑い夏場でも体が冷えて寒がる人もいらっしゃいます。追い打ちをかけるようにエアコンの利きすぎた室内、加えて室内と外気温の極度の温度差によって、自律神経が乱れ、体調を崩してしまったり、さらに冷感がつよくなったりして悪循環に陥ってしまうこともあります。

人によって「手足が冷える」、「腰回りが冷える」、「全身が冷える」、「足だけが冷える」と体の冷え方は様々です。

人間の体は、神経系、免疫系、内分泌系相互の働きにより、体内環境が一定に保たれています。このことを恒常性(ホメオスタシス)といいます。気温が高すぎたり低すぎたりしても、あまり体温に変化がないのは、この恒常性が働いているからなんです。この神経系、免疫系、内分泌系のバランスが何らかの原因によって崩れてしまうと体温調整機能に影響が生じてしまい、冷えを感じやすくなります。

 

冷え性になる原因

1.自律神経の乱れ

自律神経は血管の運動を介して体温を調節する役割を担います。

寒い時には交感神経が優位に働き、血管がギュッと収縮します。血管が収縮すると血液循環が乏しくなるため、特に手足末端部分は冷えやすくなりますが、血管を収縮させることで「熱」を体の中心部分に留めることができ、深部体温を保つことができます。

一方、気温が高い時には、副交感神経が優位に働き、体に熱がこもらないように血管を拡張させ、血行を促したり、汗をかいて体の熱を外に放散させます。

このように環境が変化しても、体温を一定に保つために自律神経がその時の環境に応じて、適切に血管の運動の収縮と拡張をコントロールして体温を調節しています。

ストレスや慢性疲労などの原因により自律神経のバランスが乱れると、状況に応じて適切な体温調節ができなくなってしまいます。

過剰な交感神経優位な状態は、常時、血管を収縮させ、血行不良を招くため、寒い時はもちろん、暑い時でも手足は冷えを感じやすくなります。体温調節が適切に行わていないため暑い夏は手足は冷える反面、体の中心部分には熱が溜まり、熱中症にかかりやすくなります。

 

2.ホルモンバランスの乱れ

女性はひと月に一回の排卵と生理があります。ホルモンバランスは周期によって変動するため、体の状態はホルモンバラスが変化する度に影響を受けやすく、様々な症状を生じやすくなります。

生理は脳にある視床下部が中枢として働き、視床下部からの指令により卵巣から女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されます。

視床下部からの指令通りに卵巣からエストロゲンやプロゲステロンが分泌されていれば月経周期は正常に経過して、生理に伴う症状も少ないとされます。

何らかの原因によりこれらのホルモン分泌に異常が生じると生理周期が乱れたり、冷えなど多彩な症状があらわれます。

加齢によって卵巣の機能は衰えていきますが、同時にエストロゲンの分泌も少なくなっていきます。そうなると視床下部からの指令通りにエストロゲンが分泌されないため、視床下部は混乱してしまいます。視床下部にはホルモン中枢だけではなく自律神経系の中枢でもあるため、視床下部が混乱すると、自律神経系にも影響が及び、ホットフラッシュとよばれる冷えやのぼせ、動悸、めまいなどの自律神経症状を引き起こしやすくなります。

 

3.基礎代謝量の低下

基礎代謝の低下は体の冷えと関連しています。

人間は寝ている時でも心拍、呼吸、体温など生命維持のために心臓や肺などの臓器が動いていて、エネルギーが消費されています。

「エネルギーを消費する」という言葉を聞くと、体を動かしている時、運動している時だけにエネルギーが消費されるとイメージされると思いますが、睡眠時や安静にしている時でもエネルギーは消費されています。

このように基礎代謝とは心拍や呼吸、体温の維持など、人間が生きていく上で必要最低限の活動のことを指し、その活動で消費されるエネルギー量を基礎代謝量といいます。

一日の代謝のうち、基礎代謝が占める割合は約7割にも及びます

基礎代謝量は10代、20代をピークに、それ以降は徐々に低下していきます。

体の「熱」は代謝でエネルギーが消費される際に産生されますが、加齢によって基礎代謝が低下すると、「熱」が産生されなくなるので、体を温めることができなくなり、年をとるごとに冷えの症状が現れやすくなります。

筋肉のエネルギー代謝は基礎代謝の約2割を占めるので、筋肉量によっても体が冷えすいかどうか変わってきます。

 

4.運動不足

運動不足も代謝が低下するため、体が冷えやすくなります。

血液は心臓と筋肉の収縮によるポンプ作用によって循環しており、全身すみずみまで血液が循環することによって、体の中心部分だけではなく手足の末端の方まで温めることができるのです。

血液の9割は水分であるため、本来血液は重さによって下肢に溜まりやすいですが、下肢の筋肉が収縮することで足元に溜まった血液を心臓の方へ押し上げ、血液の滞りを防いでいます。

ふくらはぎの筋肉は足部に流れた血液を上方へ押し上げる重要な筋肉のため「第2の心臓」とも言われています。

長時間にわたるデスクワークは、重力によって血液が足元に溜まりやすいうえに、ほとんど動くことがないので足の血液循環は悪くなり、下肢が冷えたり、むくみがでてきやすくなります。

 

男性より女性の方が冷えやすいのは、生理があるためにホルモンバランスが一定ではないこと、男性に比べて女性は筋肉量が少ないので基礎代謝量が低いためと考えられます。

 

 

冷え性の改善方法

 

運動

激しい運動ではなく、少し汗をかく程度の運動を生活習慣に取り入れましょう。

運動は代謝の向上にもつながりますし、全身の筋肉が使われるため血流が改善されます。

 

ストレスや疲労を溜め込まない

ストレスの蓄積や慢性疲労の状態は交感神経が高ぶり、血液循環が悪くなります。

なるべくストレスを溜め込まず、その都度、好きなこと、楽しいことをして発散させましょう。

 

入浴

入浴は血液の循環がよくなるだけではなく、副交感神経の働きを高めることができます。

熱すぎると交感神経が高まりやすいため、38℃~40℃のぬるめのお湯にゆっくりと浸かってください。

 

食事

それぞれの素材には「属性」があり、からだを温める「熱性・温性」のもの、からだの熱を冷ます「寒性・涼性」、どちらにも属さない「平性」に大別されます。

冷えが強い時には、なるべく「熱性・温性」の素材を積極的に摂取しましょう。

「熱性・温性」の素材には

しょうが、ねぎ、にら、くるみ、鶏肉、唐辛子、ピーマン、サケ、黒砂糖、にんにく、紅茶などがあります。

 

手足末端や全身の冷えを抱えている方の多くは血行不良を伴っています。

ホルモンバランスの乱れ、疲労やストレスによる交感神経の過緊張、運動機能の低下などにより血行不良はおこります。また血行不良があれば冷え性以外に、肩こりや腰痛、手足のしびれ、月経不順、生理痛などの症状を伴いやすくなります。

鍼灸治療は肩こりや腰痛の治療だけではなく、乱れた自律神経のバランスを調節したり、慢性疲労やストレスに対して軽減する効果があります。体の冷えや、その他にも不定愁訴があり、お困りの方はお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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和養鍼灸院
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