お知らせ
腰痛(体を前に曲げた時の痛み)
デスクワークによる長時間の座位、中腰姿勢での作業、荷物の持ち運び作業など、日常生活では腰に負荷がかかることはたくさんあり、常にストレスにさらされている状態だといえます。長年デスクワークに従事していて、腰が痛くなったことがない人は少ないのではないでしょうか。
長時間椅子に座ったり、繰り返し中腰姿勢になったり、物を持ち上げたりする動作は腰を支える筋肉や椎間板に大きな負荷がかかっています。
腰部の筋肉や椎間板を傷めると特に体を前に曲げる、前屈動作時に痛みが生じます。体を前屈して痛みがでる腰の疾患には筋·筋膜性腰痛、腰椎椎間板症、腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。
前屈時痛がある場合には
・起床後の動き始めが痛く、動いているうちに痛みが軽くなる
・靴下がはけない
・長時間椅子に座れない
などの日常生活動作でも痛みが現れやすいです。
頭からお尻にかけて連なる背骨は横からみると真っ直ぐではなく、緩やかな彎曲を描いています。そして背骨には上から頚椎、胸椎、腰椎、仙椎と名前がついています。頚椎は前弯、胸椎は後湾、腰椎は前弯していて、このなだらかな彎曲があることで地面から伝わる衝撃を吸収し、脳や内臓を保護しています。
腰椎が適度に前弯している場合は安定性が増すため、椎間板や腰周辺の筋肉にかかる負荷は少ないとされますが、腰の前弯がなかったり、あるいは後湾位(腰が後に丸まった状態)になっている場合は不安定な状態になるため、椎間板や筋肉へのストレスは大きくなり、痛みや損傷をおこしやすくなります。
長時間の座位
猫背姿勢
ハムストリングスの柔軟性の低下
体幹筋機能の低下
大胸筋や腹筋群など体前面にある筋肉の柔軟性低下
足部のアライメント異常など
骨盤のアライメント不良
これらの要素は腰椎を後湾位にさせ、筋肉や椎間板を損傷しやすい原因にもなります。
長期間腰痛を患っていて慢性化している場合、これらの要因が背後に隠れていることもあります。その結果、力学的なストレスが腰にかかり続けているために腰痛がなかなか良くならないということもあります。
腰痛の病態は様々あり、原因も人それぞれ違います。もちろん原因によって治療法も異なり、筋の柔軟性向上、関節可動域の改善、筋力の向上、筋緊張の緩和などのアプローチ方法がありますが、どの治療方法を優先的に行ったら良いかは機能評価に基づいて選択されます。
どの部位・症状でも同じことは言えますが、痛みは期間が長ければ長い程、それだけ治療に要する時間はかかりやすくなります。筋疲労を少しでも感じている方、慢性腰痛を抱えている方など腰の不調を抱えている方は一度ご相談ください。
腰痛(腰を後ろに反った時の痛み)
生涯で約8割の人が腰痛を経験すると言われています.
前かがみになると痛い、長時間椅子に座ると腰が痛くなってくる、仰向けになると腰に痛みがあるなど、人によって腰痛の種類や原因は違うため治療法もそれぞれ異なります。
腰の痛みの出方、種類は大まかに4つのパターンがあります。
1.体を前に曲げた時(前屈痛)
2.体を後ろに反った時(後屈時痛)
3.体を回旋した時(回旋時痛)
4.体を横に倒した時(側屈時痛)
これらの動作のうち、どの動作時に痛みが生じるかで原因は異なってきます。もちろん人によっては前屈、後屈両方とも痛みが生じることもあれば、4つの動作すべてに痛みがでる人もいると思いますが、特に体を前に曲げた時の方が痛いのか、それとも体を後ろに反らした方が痛いのかで治療法も変わってきます。
今回は体を後ろに反らした時に生じる腰痛についてお話します。
体を後ろに反らした時にでる痛みは椎間関節(上の椎骨と下の椎骨の連結部分)の痛み、仙腸関節性の痛み、もしくは筋・筋膜性の痛みが考えられます。また腰椎椎間関節症、脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎すべり症などの疾患では後屈時に痛みがあります。
後屈時痛がある場合、加えて他に、
- 長時間立っていると腰が痛くなってくる。
- 座っている状態から立つ時の痛みが強い
- あおむけで寝られない
- 時々足にしびれがある
などの症状があらわれやすいです。
後屈時痛の原因
反り腰の姿勢(腰椎の過前弯と骨盤の前傾)
反り腰は腰椎の関節の部分に過度な圧縮ストレスがかかりやすくなるため、関節周辺の組織に炎症が生じやすくなります。
股関節前面にある腸腰筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋や背中にある脊柱起立筋の柔軟性低下は反り腰の原因になります。
その他に体が柔らかい人、妊娠中や出産後の人は反り腰になりやすく、腰痛の原因になります。
胸椎及び胸郭(肋骨で覆われる部分)の可動性低下
体の曲げ伸ばし、特に体を後ろに曲げる動作というのは、まず最初に頭や首が後屈して、そのあと胸部、腰部の順に後屈し、腰部の後屈に伴って骨盤は前方に移動しながら後傾していきます。体が全体的に弓なりのような形になるのが理想的な後屈動作ですが、胸椎や胸郭の可動性が低下している場合、胸部の後屈動作できないため、腰椎がその分過剰に後屈を強いられます。
日常生活でそんなに大きく後ろに反らすことは少ないと思いますが、歩いたり、物を上に持ち上げたりと日常生活動作のなかで体の伸展動作は軽微ながらおこなっています。胸部が伸展できないことで腰部へのストレスが日ごろから常にかかり、この小さなストレスの蓄積が腰に痛みや炎症を引き起こす要因になります。
また腰椎が過度に後屈を強いられると関節の部分に過剰な圧縮ストレスがかかるため、炎症を引き起こしやすくなります。
胸椎伸展可動域の低下は後鋸筋の筋力低下や大胸筋、外腹斜筋などの体前面の筋柔軟性低下によっておこります。
体幹筋力の低下
特に反り腰の人や後屈時で痛みが生じやすい人は体のバランスに関わる腹横筋、横隔膜、骨盤底筋、多裂筋の筋力が低下していることが多いです。これらの筋力がないと脊柱を支えることが困難になるため、腰に負荷がかかりやすくなります。
これらの他にも様々な原因が考えられますが、特に後屈時に腰痛を生じる人の場合、胸椎の伸展可動域の低下、股関節前面の筋柔軟性の低下、体幹筋力の低下が多くみられます。この場合の治療は痛みがある周囲の筋肉を柔らかくしても治りません。
腰痛の原因は人によって違い、関節の可動性が低下している人、筋力がない人、もしくは原因が複数ある人もいるため、人それぞれ評価をしっかり行い、治療法も必要に応じて運動療法や手技療法、鍼灸治療を組み合わせて施術する必要があります。長く腰痛を患っていて治るのを諦めている方、腰痛で日常生活に支障をきたしていてお困りの方は一度ご相談ください。
めまいについて
疲れがやストレスを抱えている時に突然目の前がぐるぐると回るようなめまいがしたり、立ちくらみや身体がフワフワ宙に浮くような経験をしたことはないでしょうか。
平衡感覚をつかさどる前庭機能や自律神経の機能が何らかの原因により一時的に低下することでめまいが現れやすくなります。
めまいとは実際自分や周囲が動いていないのにもかかわらず、周りがぐるぐると回るように見えたり、足元がフワフワして体がふらつくなど動いているように感じられることをいいます。
耳の奥の内耳というところには三半規管と耳石器があります。この両者をあわせて前庭と呼び、バランス感覚(平衡感覚)の役割を担っています。
三半規管は半円形の半規管が三つあり、中は内リンパ液で満たされています。頭や体が回転すると三半規管のなかにある内リンパ液が動き、三半規管の神経を刺激することで回転性の動きを感知します。
耳石器は三半規管のすぐ真下(根本)に存在します。耳石器は神経細胞から感覚毛が生え、感覚毛の上部にはカルシウムの細かい耳石が多くついている構造になっています。耳石は体の直線的な運動で動き、耳石が動くことによって感覚毛を刺激して、体の動きや傾きを感知します。主に耳石器は重力、体の水平方向や垂直方向の動きを感じとります。
めまいには大きく分けて周囲がぐるぐると回るような回転性のめまいと足元がフワフワして体が宙に浮いているような浮動性のめまいがあります。
回転性のめまいは良性発作性頭位めまい症、メニエール病、突発性難聴、前庭神経炎などの内耳に原因があることが多く、浮動性のめまいは脳卒中や脳腫瘍が原因でおこります。
良性発作性頭位めまい症
めまいを引き起こす原因で最も多いとされています。特徴的な症状は体位変換時、ある特定の方向へ頭を動かした時に生じる回転性のめまいです。めまいが強いため、吐き気や嘔吐などの自律神経症状を伴うこともあります。中高年の女性に多く、横向きなど長時間同じ姿勢を保ち続けて寝ることによって生じやすくなります。
本来、三半規管には耳石は存在しませんが、何らかの原因で耳石器の耳石が感覚毛から剥がれ落ちて、三半規管の中に入り込んでしまうことがあります。頭を傾けたりすると三半規管のなかに溜まっていた耳石が動き、それと一緒に三半規管の中のリンパ液が動くことによって、神経を刺激してめまいが生じてしまうのです。
強い回転性のめまいのため、重い病気を疑ってしまうこともありますが、この疾患は体を動かした時にのみ生じるめまいであり、良性です。
メニエール病
めまいの原因として多い疾患の一つです。中高年の女性に多く、回転性のめまいを生じますが、めまいだけではなく耳鳴りや難聴、耳閉塞感を伴います。反復性があり、繰り返し症状が現れます。
はっきりとした原因はわかっておりませんが、ストレスや疲労など何らかのきっかけで三半規管の中の内リンパ液が増えて(水ぶくれ)しまい、過剰なリンパ液が神経を刺激してしまうためにめまいが引き起こされます。この疾患は病変が三半規管だけではなく、音を感知する蝸牛(内耳の一部)にも及ぶので耳鳴りや難聴、耳のつまり感を伴うのが特徴です。
突発性難聴
その名の通り突発的に強い難聴を引き起こし、耳鳴りや耳閉塞感を伴います。めまいを生じることも少なくありません。症状がメニエール病と似ていますが、メニエール病はめまいが反復的におきるのに対して突発性難聴はめまいが繰り返し起こることはありません。
前庭神経炎
三半規管や耳石器で感知された体の傾きや動きの情報は前庭神経を通じて脳に伝えられます。この前庭神経に炎症が生じると、強いぐるぐるとした回転性のめまいを生じます。前庭神経炎は風邪を引いた後に生じることが多いため、ウイルスが神経に感染することで生じると言われています。
脳梗塞や脳出血、脳腫瘍によるめまい
脳の病気が原因でおこるめまいは、体が宙に浮いているようなフワフワとした浮動性のめまいが多く、その他に激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、飲み込むのが難しいなどの症状を伴います。脳幹や小脳は体のバランスを調節しているため、これらの部分に腫瘍や出血をおこすとめまいを生じます。
その他の原因で起こるめまい
・心因性めまい
疲労やストレスもめまいが生じる原因になります。疲労や精神的ストレスの蓄積は脳に過剰な負担を強いることになり、その結果脳の混乱を招き、めまいを引き起こしやすくなります。また、これらの要因は自律神経系のバランスも乱しやすく、特に交感神経優位の状態になります。交感神経優位の状態が長く続けば、さらなる疲労増大にもつながり、適切な血管の拡張と収縮の運動ができなくなるため、血行不良を招きます。その結果バランス感覚を司る前庭や感覚情報を統合している脳に十分な栄養や酸素を供給することができなくなり、めまいが生じやすくなります。
・自律神経性失調症によるめまい
自律神経失調症に多い、急な立ち上がりや起き上がりの時に生じるめまいや立ちくらみは副交感神経と交感神経が適切なスイッチの切り替えができなくなっているためにおきます。通常立ち上がる時や起き上がる時は、血液が重力によって足の方へ下がらないように交感神経が適切に働くことで、血圧を維持して脳血流を一定に保っています。様々な原因によって副交感神経と交感神経のスムーズなスイッチの切り替えができないと起き上がったり、立ち上がったりしたときに脳を循環している血液が重力によって下がってしまい、立ちくらみやめまいを生じてしまうのです。自律神経失調症は精神的ストレスで起こることも多いため、自律神経性のめまいは心因性のめまいと重なってでていることもあります。
・加齢によるめまい
脳には目からの視覚による情報、内耳からの平衡感覚の情報、全身の筋肉や関節からの“手足や身体の位置”“関節の曲がり具合”などを感知する深部感覚の情報が送らてきます。脳はこれらの情報を統合して、全身の筋肉に指令をだすことによって体のバランスや姿勢をコントロールしています。
加齢によって徐々に体の機能は低下していきますが、機能低下が顕著にみられるのが三半規管や耳石器、前庭神経の老化による平衡感覚(バランス感覚)の低下です。
三半規管、耳石器、前庭神経の機能低下は体の傾きや位置情報を脳に正しく伝えることができなくなるため、その結果脳が混乱してしまい、めまいが起きてしまうのです。
めまいやふらつきがある場合の多くは特に首や肩の筋肉が過緊張を起こしています。
頭を地面に対して垂直に立たせなければいけないため、内耳や目から得られる情報に基づいて首肩周辺の筋肉を収縮させて頭の傾きを調節しています。この一連の調節は無意識下で行われていて、目、前庭(三半規管、耳石器)、肩首の筋肉は反射回路でつながっています。したがって三半規管や耳石器に障害が生じたりすると肩首の筋肉も緊張して硬くなりやすく、また筋肉が過緊張すれば内耳にも影響を及ぼしやすくなります。よって肩首の筋肉の過緊張もめまいを引き起こす一要因でもあり、めまい感を増強している原因にもなります。
めまいに対しての治療は目の周辺や首肩周辺の筋緊張をとって血行改善を目的に施術していきます。また自律神経の乱れもめまいの原因になりますので患部周辺だけではなく、患者さんの体の状態に応じて全身にアプローチしていきます。原因にもよりますが、めまいは薬の服用だけでは完全に治らないケースも少なくありません。めまいでお困りの方はお気軽にご相談ください。
高血圧の予防と対策
加齢に伴い、体の機能は年とともに低下していきますが、加えて血管の老化も進み血圧も徐々に高くなっていきます。しかし最近では生活習慣病の増加、運動不足などの影響により比較的若い年代層で高血圧になるケースもあります。
血圧を維持することは生きていく上で大事ではありますが、一方で血圧が高すぎたり、低すぎたりしてしまうのも良くはなく、血圧の過度な変動は体の機能を正常に維持することができなくなり、様々な障害を引き起こしやすくなります。
血圧とは
私達の体の中では血液を介して、細胞一つ一つに栄養や酸素などを届けたり老廃物を排出するために、絶えず心臓が繰り返し動き、血液を全身すみずみまで循環させています。そして心臓が動くことによって血圧が変動しています。
「血圧」とは血管壁にかかる圧力のことをいいます。心臓が収縮して血液が送り出されるとき、血管にかかる圧力のことを「収縮期血圧」と呼び、心臓が収縮した後、拡がるときにかかる圧力を「拡張期血圧」と呼びます。
血圧は常に一定ではなく、日中は比較的高く保たれ、夜間では徐々に下がり始め、睡眠時には最も低くなります。このように血圧は一日を通して規則的に変動していて、このことを日内変動といいます。これは自律神経活動の状態を反映しているといえます。つまり昼間には体を活動状態にさせるために交感神経が優位に働き、それに伴い血圧も上昇していきます。夜は体を休息させるために副交感神経優位になり、血圧は下がります。
血圧の高さは「心臓から血管に送り出される血液量」と「血管の抵抗性や柔軟性」によって決まります。
例えば腎臓の機能低下や過剰な塩分摂取は血液中の水分が増えます。血液量が増えれば、心臓から送り出される血液量も増えるので、血管に圧力がかかりやすくなります。また血管が収縮したり、動脈硬化などによって血管が硬くなると、一定量の血液が流れ込むことによって血管への内圧も高まります。
分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
至適血圧 | <120 | かつ | <80 |
正常血圧 | <130 | かつ | <85 |
正常高値血圧 | 130-139 | または | 85-89 |
Ⅰ度高血圧 | 140-159 | または | 90-99 |
Ⅱ度高血圧 | 160-179 | または | 100-109 |
Ⅲ度高血圧 | ≧180 | または | ≧110 |
収縮期高血圧 | ≧140 | かつ | <90 |
血圧は低すぎても、高すぎても体には良くありませんが、特に血圧で問題になるのが、血圧が高すぎることによって引き起こされる様々な疾患です。長期間続く高血圧は動脈硬化や血管の脆弱を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などの重大な疾患につながる恐れがあるからです。
血圧は医療機関での測定で上(収縮期血圧)が140㎜Hg、下(拡張期血圧)が90㎜Hgを超えると高血圧と診断され、治療の対象になります。
高血圧は原因が明確ではない一次性高血圧(本態性高血圧)と、腎臓や内分泌系などの疾患が原因でおこる二次性高血圧に区分されますが、高血圧の多くは一次性高血圧であり、高血圧の90%を占めます。一次性高血圧は特に遺伝的要素や生活習慣による影響が大きく関わっています。
血圧を上げる原因
一次性高血圧は特に生活習慣と密接に関わっており、肥満や過度な飲酒、喫煙などは血圧をあげる要因となります。
- 運動不足、肥満
肥満は高血圧の発症率が2~3倍高くなります。
肥満かどうかはBMI値で調べられます。BMI値とは身長と体重との関係性を計算した数値であり、身長に見合った体重であるかどうかを調べられます。
BMI=体重(㎏)÷{身長(m)×身長(m)}
BMI値が18.5~24であれば標準体重であり、25以上は肥満とされます。
- 塩分の過剰摂取
塩分の過剰摂取により血中の塩分濃度は高くなります。血中の塩分濃度が高くなると、塩分を薄めるために体内に水分が過剰に吸収されます。その結果血液量が増え血圧が高くなります。
- 過度な飲酒
少量のアルコール摂取は一時的に血圧を下げますが、長期間の過度な飲酒は血圧をあげる原因になります。またアルコールの代謝過程で塩分の排出を促すカリウムやマグネシウムなどのミネラル分が多く失われてしまいます。
- ストレス,疲労,睡眠不足
ストレスや疲労、睡眠不足は交感神経が緊張します。交感神経活動の高まりは血管を収縮させるため、血管抵抗性が増加し、血圧が高くなります。
- 高血糖
血糖値が高いと塩分と同様に濃度を薄めようと多量の水分が血液中に吸収され、血圧が上がります。血糖値が高い糖尿病は血圧が上がりやすくなります。
- 遺伝的要素
血圧は遺伝の影響を受けやすく、両親が高血圧だった場合、子供が成人後に高血圧になる確率は50~60%といわれています。
- 血管の老化
年を重ねていくと血管は徐々に弾力性を失い、動脈硬化が進んでいきます。そのため加齢によって血圧は高くなります。加えて高脂血症や高血糖など様々な疾患を抱えていると血管がもろくなりやすく、さらに血圧が高くなります。
高血圧の予防と対策
⒈食生活の見直し
塩分が少ない食事を心がけることで血圧をコントロールすることができます。また塩分の過剰摂取を控えるだけではなく、体内の塩分の排出を促す栄養素を積極的に摂取しましょう。野菜や果物に多く含まれているカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルの他、食物繊維は体内の余分なナトリウムを排出する作用があります。
⒉適度な運動
適度な運動は血圧を下げることがわかっています。汗をかくことで血液中の余分な水分や塩分が排出され、血管への負荷が少なくなります。また運動は肥満防止や心肺機能の向上にもつながりますので継続した運動をおすすめします。
⒊過度なアルコール摂取や喫煙を控える
長期間のアルコール摂取は血圧を高めます。またたばこに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり血圧を高めてしまいます。たばこを吸う本数をより少なくすることを心がけましょう。
⒋心身リラックスさせて睡眠を十分にとる
ストレスや疲れ、睡眠不足があると交感神経を高めるため、血圧が上がりやすくなります。簡単ではありませんが、なるべくストレスや疲労を蓄積させず体をリラックスさせて、副交感神経を高めるような生活習慣を心がけましょう。
高血圧の鍼灸治療
高血圧の鍼灸治療は本態性高血圧に有効とされております。頸肩や腰、下肢など全身の緊張部位や反応部位にアプローチすることにより、末梢血管(血管の末端)の抵抗性を弱めたり、交感神経の緊張を抑えたりすることができます。加えて鍼灸による刺激はリラクゼーション効果があり、体を休める副交感神経の働きを高めます。
血圧は一日の規則的なリズムで変動していますが、心身の状態により血圧の規則的な変動は容易に崩れます。寝たきりとなる原因で多い脳卒中や、死因で多くを占める心筋梗塞や脳梗塞は高血圧と密接に関わっています。高血圧は「サイレントキラー」といわれるように自覚症状がなく放置されがちですが、高血圧に関わる疾患が多いだけに日々の体調管理はしっかり行い、生活習慣を見直してみましょう。