お知らせ
腰痛(腰を後ろに反った時の痛み)
生涯で約8割の人が腰痛を経験すると言われています.
前かがみになると痛い、長時間椅子に座ると腰が痛くなってくる、仰向けになると腰に痛みがあるなど、人によって腰痛の種類や原因は違うため治療法もそれぞれ異なります。
腰の痛みの出方、種類は大まかに4つのパターンがあります。
1.体を前に曲げた時(前屈痛)
2.体を後ろに反った時(後屈時痛)
3.体を回旋した時(回旋時痛)
4.体を横に倒した時(側屈時痛)
これらの動作のうち、どの動作時に痛みが生じるかで原因は異なってきます。もちろん人によっては前屈、後屈両方とも痛みが生じることもあれば、4つの動作すべてに痛みがでる人もいると思いますが、特に体を前に曲げた時の方が痛いのか、それとも体を後ろに反らした方が痛いのかで治療法も変わってきます。
今回は体を後ろに反らした時に生じる腰痛についてお話します。
体を後ろに反らした時にでる痛みは椎間関節(上の椎骨と下の椎骨の連結部分)の痛み、仙腸関節性の痛み、もしくは筋・筋膜性の痛みが考えられます。また腰椎椎間関節症、脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎すべり症などの疾患では後屈時に痛みがあります。
後屈時痛がある場合、加えて他に、
- 長時間立っていると腰が痛くなってくる。
- 座っている状態から立つ時の痛みが強い
- あおむけで寝られない
- 時々足にしびれがある
などの症状があらわれやすいです。
後屈時痛の原因
反り腰の姿勢(腰椎の過前弯と骨盤の前傾)
反り腰は腰椎の関節の部分に過度な圧縮ストレスがかかりやすくなるため、関節周辺の組織に炎症が生じやすくなります。
股関節前面にある腸腰筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋や背中にある脊柱起立筋の柔軟性低下は反り腰の原因になります。
その他に体が柔らかい人、妊娠中や出産後の人は反り腰になりやすく、腰痛の原因になります。
胸椎及び胸郭(肋骨で覆われる部分)の可動性低下
体の曲げ伸ばし、特に体を後ろに曲げる動作というのは、まず最初に頭や首が後屈して、そのあと胸部、腰部の順に後屈し、腰部の後屈に伴って骨盤は前方に移動しながら後傾していきます。体が全体的に弓なりのような形になるのが理想的な後屈動作ですが、胸椎や胸郭の可動性が低下している場合、胸部の後屈動作できないため、腰椎がその分過剰に後屈を強いられます。
日常生活でそんなに大きく後ろに反らすことは少ないと思いますが、歩いたり、物を上に持ち上げたりと日常生活動作のなかで体の伸展動作は軽微ながらおこなっています。胸部が伸展できないことで腰部へのストレスが日ごろから常にかかり、この小さなストレスの蓄積が腰に痛みや炎症を引き起こす要因になります。
また腰椎が過度に後屈を強いられると関節の部分に過剰な圧縮ストレスがかかるため、炎症を引き起こしやすくなります。
胸椎伸展可動域の低下は後鋸筋の筋力低下や大胸筋、外腹斜筋などの体前面の筋柔軟性低下によっておこります。
体幹筋力の低下
特に反り腰の人や後屈時で痛みが生じやすい人は体のバランスに関わる腹横筋、横隔膜、骨盤底筋、多裂筋の筋力が低下していることが多いです。これらの筋力がないと脊柱を支えることが困難になるため、腰に負荷がかかりやすくなります。
これらの他にも様々な原因が考えられますが、特に後屈時に腰痛を生じる人の場合、胸椎の伸展可動域の低下、股関節前面の筋柔軟性の低下、体幹筋力の低下が多くみられます。この場合の治療は痛みがある周囲の筋肉を柔らかくしても治りません。
腰痛の原因は人によって違い、関節の可動性が低下している人、筋力がない人、もしくは原因が複数ある人もいるため、人それぞれ評価をしっかり行い、治療法も必要に応じて運動療法や手技療法、鍼灸治療を組み合わせて施術する必要があります。長く腰痛を患っていて治るのを諦めている方、腰痛で日常生活に支障をきたしていてお困りの方は一度ご相談ください。