お知らせ

2020 / 03 / 28  09:08

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)

四十肩、五十肩はその名の通り40~50代の中高年に多く、肩関節に炎症が生じて肩関節の強い痛みとそれに伴う挙上困難、運動制限を特徴とします。この疾患にかかると腕が挙げられないばかりか、痛みによりあらゆる方向に腕が動かせなくなります。「洗濯物が干せない」「エプロンが結べない」「髪が洗えない」「痛みで寝付けない、目が覚めてしまう」など日常生活に支障がでる程強い痛みを伴うこと多いです。この疾患も変形膝関節症や脊柱管狭窄症などの疾患と同じように肩関節の組織が徐々に摩耗(老化)していくことによっておこる退行性変化を基盤とした変性疾患の一つです。はっきりとした病態は分らないとされておりますが、腱板損傷・断裂、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋腱炎などの病態が関わっていると考えられます。

 四十肩・五十肩の現れ方は人それぞれちがいますが、最初は肩関節周辺の軽度の痛みと違和感を自覚し、徐々に痛みが強くなっていくことが傾向にあります。

一般的に肩関節の違和感から始まり徐々に痛みが強くなる場合、3つの病期をたどるといわれています。

 

炎症期
肩関節周辺組織が炎症している時期。痛みが強く安静時痛や夜間痛があり、しばしば痛みのために睡眠が障害されることもあります。

拘縮期
安静時痛や夜間痛を伴う強い痛みはなくなりますが、肩関節を動かすと痛みがあり筋肉に過緊張がみられます。

回復期
安静時痛や運動時痛が徐々に軽くなり、肩関節が正常な状態まで回復していきます。

 

 肩関節の痛みや運動制限の回復にかかる期間は人によって様々ですが、1,2か月程度で治る人もいれば、半年、1年以上と長期間を要する人もいます。なかなか痛みや運動制限が治らない背景には筋拘縮による血液循環の悪化、筋力低下や関節可動域制限などによる体の機能低下が関わっているケースもあります。

 肩関節は、上腕骨と肩甲骨で構成する肩甲上腕関節(狭義の肩関節)、鎖骨と胸骨(体前面の中心にある骨)で構成する胸鎖関節、肩峰(肩甲骨の一部分)と鎖骨で構成する肩鎖関節そして肩甲骨と胸郭(肋骨部分)からなる肩甲胸郭関節の4つの関節を合わせていいます。腕を上に挙げたり、前に伸ばしたり、腕を回すというような動作は腕だけが動いてるわけではなく、これらの関節が一体となって動くことにより肩甲骨、鎖骨、胸椎(背骨の胸の部分)が連動して、一つの動作を可能としています。

四十肩・五十肩に罹患しやすい人は特に肩甲骨や鎖骨、胸椎が正常に動いていないことが多く、日頃から肩甲上腕関節(狭義の肩関節)のみで繰り返し使っているため、酷使により炎症が生じてしまいやすいのです。

 

肩甲骨、鎖骨、胸椎が動かなくる原因として

 

1.姿勢による影響
特に背中が丸まると肩が前方に移動します。この状態は肩甲骨や鎖骨の動きを止めてしまい、肩甲上腕関節に過度な負荷がかかっています。

2.筋緊張、筋拘縮
体の前面にある大胸筋や小胸筋、鎖骨下筋、外腹斜筋、前鋸筋、肩背部にある肩甲挙筋、菱形筋、棘下筋などの筋緊張は肩甲骨や鎖骨の動きを止めてしまったり、上腕骨頭の異常運動を引き起こしてしまうため、肩の痛みの原因になります。これら一部分の筋緊張は姿勢による影響が強くでます。

3.肩甲骨周囲筋の筋力低下
肩甲骨には腕の動きに応じて肩甲骨を規則正しく動かすための筋肉が多数付着しています。腕を90度以上挙げるときには僧帽筋という筋肉が主体となって働きますが、特に僧帽筋下部線維の筋力低下があると肩甲骨を正常に動かすことができなくなり異常運動を引き起こしやすくなります。肩甲骨の異常運動は肩関節の炎症を引き起こしたり、肩こりを生じやすくなります。

3.胸椎の伸展不足
もともと胸椎は軽度後ろに彎曲(生理的湾曲)しています。腕を挙上する時には腕の動きに伴い、胸椎は伸展して、同時に肩甲骨が後傾します。胸椎が伸展しないと肩甲骨の後傾の動きも制限され、肩甲上腕関節には負荷がかかります。特に体前面にある外腹斜筋や腹直筋、大胸筋、小胸筋などの過緊張があると胸椎の伸展ができなくなります。

4.体幹筋力の低下
腰部や腹部の深いところには体の安定性に関わる筋肉群があり、この筋肉群の筋力低下があると背骨を正しい位置に保つことができなくなり、それが肩甲骨にも影響して肩関節の可動域制限を引き起こします。

 

一概には言えませんが、四十肩・五十肩に罹患しやすい人、痛みや運動制限がなかなか回復しない人の多くは先にあげた複数の要因が絡んでいて、その結果体の機能低下に陥っていると考えられます。痛みや運動制限などの程度が人それぞれ違うように、原因もそれぞれ違います。姿勢や関節可動域、徒手筋力などを総合的に評価し、それに応じた治療をおこなっていきます。痛みや長期間患ってお悩みの方は一度ご相談ください。

2020 / 03 / 24  11:17

加齢に伴う膝の痛み

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若い頃に日常生活で普通にできていたことが今ではできなくない、あるいはできる範囲が狭まっている、そういうふうに感じる方は多いと思います。身体機能は10~20代をピークにそれ以降は加齢と共に段々と低下していきます。同時に重力環境下で暮らしている以上、関節の変形も起こりやすくなります。特に腰椎の関節や膝関節は荷重関節といい、体重がかかり、かつ可動性を有しているため負担が大きく、比較的若い年代から変性しやすい関節でもあります。個人差にもよりますが膝関節は早い人で40代から変形が始まってきます。しかし2足起立及び歩行を行う人間において、関節の変形は誰もが起こるものであり、生理的現象でもあります。

膝関節は大腿骨と脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(お皿)で構成しています。大腿骨と脛骨それぞれの関節部分は関節軟骨で覆われ、その間には半月板という軟骨組織があります。関節軟骨や半月板は地面から伝わる衝撃を吸収するクッションの役割を担ったり、関節の動きを滑らかにするはたらきがあります。その周りには大腿骨や脛骨、膝蓋骨をつなぐ靭帯(内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯など)があり、関節が過剰に動きすぎないように膝関節の動きを制動しています。

変形性膝関節症は関節軟骨や半月板がすり減ったために生じる膝の痛みというように解釈されることが多いですが、変形に伴う痛みの程度もそれぞれで、関節軟骨や半月板が薄くなっているからといって必ずしも痛みが生じるとは限りません。関節の変形があるのにもかかわらず痛みがない人や、一方で関節の変形が軽度でも痛みが強くあらわれることもあり、関節の変形と痛みの程度は一致しないことも多いです。

 

膝の痛みを助長している原因

関節軟骨や半月板がすり減ることで、骨がむき出しになり神経を刺激して痛みが生じる、衝撃吸収ができないため膝への負担が大きくなり痛みがでるということはもちろんあると思います。しかし膝の痛みと変形(軟骨組織の摩耗による)の程度は必ずしも一致していないこともあり、膝の痛みを引き起こす、あるいは痛みを増強している原因は他にもあると考えられます。

 

姿勢による膝への影響

加齢の影響は膝だけではなく、背骨や筋力にもあらわれてきます。特に腰椎の椎間板(椎骨の間にある軟骨組織)は年とともにつぶれていきやすく、同時にお尻や腰の筋肉も衰えていきます。その結果、腰は段々と後ろに曲がり、骨盤は後ろに傾き(後傾)、上体は全体として丸まった姿勢になります。

理想の姿勢というのは、横からみて下肢の上に真っ直ぐ上体がのっているような状態が良く、力学的な観点からも負担が一番少ないといわれています。しかし上体が丸まった状態というのは下肢に対して上体が後ろにもたれかかっている形になります。膝関節から重心が遠くなるため、この状態は膝の不安定性を招き、その結果痛みが生じやすくなります。猫背の姿勢をとることが多い若い年代でも、このような理由で膝の痛みを引き起こすことがあります。

 

体重による影響

膝関節は荷重関節であり、体重による影響が大きい関節です。普段から何気なく歩いたり、階段を利用したりして移動していますが、その時膝には体重以上の負荷がかかっています。歩行時には体重の2~3倍、階段昇降では体重の5倍(降りるときの方が負荷が大きい)、走るとなると体重の7倍以上の負荷が膝関節にかかっています。体重が1㎏増えると、膝関節には少なくとも2㎏以上の負荷が加わることになります。負荷が大きくなることは膝の痛みを引き起しやすくなるだけではなく、膝関節の変性を早めることにもつながります。膝の痛みがつよいのに運動不足だからといって、無理に歩いたり階段を使って運動しようとしたりして、かえって痛みが強くなってしまった、というお話をよく耳にします。体を動かすことはいいことなんですが、痛みが強いのに運動を無理に行うことで痛みはさらに悪化し、変形も進行してしまいます。

 

膝関節組織による影響

膝関節の組織には関節軟骨や半月板、靭帯の他に組織同士の摩擦防ぐ袋状の関節包や、関節運動を円滑にする膝蓋下脂肪体があり、これらに炎症や癒着が生じると痛みがあらわれます。特に膝関節を曲げた際、膝関節前面に強い痛みを生じます。関節包や膝蓋下脂肪体の状態を良くすることで膝の痛みが軽くなることも多いです。

 

膝関節可動性の低下による影響

膝関節の可動性が少なくなると膝関節の一定の部分にだけ負荷が加わり続けるため、その部分に痛みが生じやすくなります。関節の動きは単に曲げたり、伸ばしたりというような動きだけではなく屈伸運動に伴い軽度回旋しています。膝を痛める方のなかには膝の回旋不足が原因で起こることもあります。

 

胸郭(肋骨で覆われている部分)の回旋可動域低下による影響

歩行時、足の動きに伴い胸郭は前後への回旋運動をしています。この回旋運動があることで前方への推進力が得られ効率的な歩行を可能としているわけですが、胸郭の可動性低下、特に胸郭の回旋不足があると腰や膝関節で代償されます。その分、膝関節には回旋ストレス(ねじれるような力)が増大しますので、回旋ストレスの蓄積により膝関節の痛みが強くなります。変形性膝関節症を抱える方のなかには胸郭の可動性が低下が原因で膝に痛みを引き起こしているケースもみられます。

 

その他にも足部や足関節のアライメント、脛骨の異常捻転、膝関節周囲の筋筋膜の緊張や癒着、骨盤のアライメントなども痛みの原因、痛みが増大する原因になります。

 

変形性膝関節症の症状に対する治療

 

膝関節は外側部分と内側部分で荷重を分配していますが、もともと膝関節内側の方が荷重がかかりやすい構造になっています。それに加え、姿勢、体重、脊柱や骨盤のアライメント不良、関節の可動域制限、足部の機能不全など様々な要因が存在することで膝関節内側への負荷はさらに増大します。患部のみを治療して症状が軽くなることもありますが、膝関節を力学的な視点で捉えると、膝関節の変形に影響を及ぼす原因が全身にもあり、その原因を一つ一つ取り除くことで膝の痛みをとることもできます(膝の変形の程度にもよる)。治療としては膝関節内側にかかりすぎた荷重を外側部分に分散させ、異常な力学的環境を改善させるために、まず身体機能の評価を行い、その結果に基づいて鍼灸治療、手技や運動療法、テーピングなどを用いて全身にアプローチしていきます。膝の痛みでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

2020 / 03 / 10  17:39

「疲労」と「疲労感」

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仕事や家事、運動、人間関係やノルマ達成など、生活していくうえにおいて常に人間の体にはストレスがかかっています。現在人口の6割の人が疲労を自覚し、全体の3割の人が6か月以上持続して疲労を感じています。疲労による体への影響はあまり感じないため軽視されがちですが、痛み・発熱と並ぶ体の三大危険信号に位置図けられています。疲労の放置は酸化ストレスにより細胞の老化を早めたり、脳が疲弊し、自律神経系、内分泌系、免疫系に不具合が生じることによって、多様な症状、疾患が発生しやすくなります。

 

疲労に関わる部位

眼窩前頭野
ちょうど眉間の真後ろに位置している前頭葉の一部で、物事を考えたり、コミュニケーションをとるなど高次の知的機能を持つ。疲労を感知する部位になります。

前帯状回
大脳辺縁系に属し、自律神経機能の中枢機能、情動や共感の認知機能をもっています。集中力をコントロールします。

視床下部
前帯状回とともに自律神経をコントロールする部位であり、その他に内分泌系や免疫系調節の役割も担っています。

疲労因子FF
たんぱく質の一種で、活性酸素が細胞を傷つけた際に産生される老廃物。
血中にたくさんのFFがあると細胞の機能が著しく低下します。この状態のことを狭義の意味で「疲労」といいます。階段を上ったり、精神的ストレスで過緊張していると疲労因子の量が跳ね上がります。

 

 

 

 疲労を感じるメカニズム

体を動かしたり、座って作業をしていたり、寝ている時でさえも呼吸によって酸素を体内に取り入れ、エネルギーをつくっています。そしてエネルギーと一緒に産生されるのが活性酸素です。活性酸素は細胞を酸化させ(錆びつかせる)、細胞の機能を著しく低下させる原因となります。極度な肉体的疲労、精神的疲労で大量の酸素が消費されれば、多量の活性酸素が発生します。
近年の研究で活性酸素が細胞を酸化させる過程で発生する疲労因子FF(たんぱく質の一種)が疲労を引き起こす原因ということがわっかてきました。疲労因子が産生されると、その疲労因子を察知した免疫細胞から生理活性物質(炎症性サイトカイン)が分泌されます。そのサイトカインが脳にある眼窩前頭野に伝えられ、疲労として認知されます。つまり眼窩前頭野にサイトカインが伝わることで「疲れた」と疲労を感じるのです。狭義の意味で「疲労感」といいます。

自律神経中枢である前帯状回や視床下部は常に酸化ストレスにさらされています。人は激しい運動をすれば、大量の酸素が消費し、活性酸素も多く産生されます。その結果、疲労を感じることはごく普通の現象ですが、大事な会議が終わった後、パソコンやデスクワークで集中して作業をした後など、大して体を動かしていないのに疲れを感じたことはないでしょうか。あるいは暑い夏場に少し歩いただけなのに汗を多量にかき、疲れがどっと感じたことがあると思います。これらは自律神経を調整している視床下部、前帯状回の疲労の蓄積によって起こる「脳疲労」なのです。自律神経はどのような環境下でも、体内環境を一定に保とうします。気温が高ければ体温を下げようと汗をかき、熱を外に逃したり、集中している時は交感神経が働き、緊張状態を保ったりと常に視床下部などは体内環境を監視し自律神経を介してコントロールしています。視床下部などでも酸素が使われていますので、活性酸素が産生されています。そして酸化ストレスの信号は眼窩前頭野に伝えられ「疲労感」が発生するわけです。

 

自律神経中枢である視床下部や前帯状回は、外部環境の変動があっても呼吸、消化吸収、血液循環、脈拍など体内環境を一定に保とうと昼夜常に機能してるところですので、自律神経中枢は疲労が最も生じやすいところでもあります。運動やデスクワーク、思い悩みによる疲れは体の疲労ではなく「脳の疲労」です。疲労を感じるということは、「これ以上自律神経に負担をかけないでください」という体からの危険信号でもあり、休息を欲求している合図でもあります。この疲労感を無視して体に負担をかけ続けてしまうと、自律神経機能が乱れるだけではなく、内分泌系、免疫系の症状や疾患があらわれてしまいます。
休んでいるつもりでも体の疲れがとれない場合、「脳疲労」が蓄積している可能性があります。

 

疲労に対する鍼灸治療

慢性疲労症候群(6か月以上続く全身性の激しい疲労感)の患者さんの脳血流量を調べたところ、前帯状回、眼窩前頭野、背外側野、海馬などの部位に脳血流量の低下を認めたという報告があります。これらの部位の血流量低下に伴う症状は自律神経失調であらわれる多彩な症状と一致しています。
疲労に対する鍼灸のはっきりとしたメカニズムはわかっておりませんが、鍼灸は脳血流量の増加セロトニン分泌の増加自律神経機能の調節の有効性が認められています。他にも脳にプラスの作用機序が働いていると考えられますが、これらの作用の相乗効果により疲労に対する効果があるのではないかと思います。

 

人はやりがいのある仕事だったり、生活に生きがいを感じたりすると体の疲労を忘れて、いつまでも頑張ってしまいがちです。このとき脳内では、快感や多幸感をもたらすエンドルフィンやカンナビノイドという脳内物質が分泌されていて、これらの物質が眼窩前頭野に作用することで、眼窩前頭野が発する「疲労」アラームを隠してしまっている状態にあります。疲労はなくったわけではなく隠されている状態なので、疲労は蓄積していき知らず知らずのうちに体の機能は乱れていきます。そうならないために疲労を少しでも感じたら休息をとり、日々の食事、睡眠などの生活習慣を心がけて、無理を強いられている体を労わってあげましょう。

 

 

2020 / 03 / 09  15:36

繰りかえす頭痛

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疲れていたり、ストレスが溜まっていたり、体調が悪い時に頭痛を感じたことがあるかと思います。

仕事を休むほどではないが頭痛が段々と強くなり苦痛を感じる方もいれば、階段の上り下りや歩いているだけで頭にガンガンと響き、痛みで仕事を休まざるをえない方もいて、人によって頭痛の出方や程度は様々です。

頭痛は日常生活でよく遭遇するありふれた症状の一つですが、国際頭痛学会の分類において、危険性が低い「一次性頭痛」と重大な疾患が隠れていて危険性のある「二次性頭痛」に大別されます。

 

一次性頭痛

日常一般的におこる頭痛のほとんどは一次性頭痛です。

  • 緊張型頭痛
  • 片頭痛
  • 群発頭痛

 

二次性頭痛

疾患が原因で発生する頭痛です。

  • 頭部外傷によるもの
  • 脳血管障害によるもの
  • 感染症によるものなど

これまで経験のない急激な強い痛み、悪心嘔吐を伴う頭痛、意識消失を伴う頭痛など、これらの症状は重大な疾患が背後にあり、緊急な処置を用します。

 

鍼灸治療で有効と認められるのは一次性頭痛の片頭痛、緊張型頭痛です。

 

緊張型頭痛

頭痛のなかで最も多くを占めます。緊張型頭痛は主に肉体的、精神的なストレスにより首肩周辺の筋肉の過緊張が原因でおこります。
首と肩の筋肉のほとんどは頭蓋骨についています。そして
後頭部の知覚は大後頭神経が、側頭部は小後頭神経が支配していますが、これらの知覚神経は頚髄(脊髄の首の部分)から分かれ頸椎の外にでて、首の筋肉の間をかき分けながら上行し、頭蓋骨の後頭部や側頭部を走行します。
首肩の筋肉の過緊張は付着部の頭蓋骨に影響し、締め付けられるような頭痛を引き起こしたり、首の部分で大後頭神経や小後頭神経が圧迫することで、頭に「ピリッ」と電気が走るような頭痛が発生します。
緊張型頭痛は後頭部や側頭部だけではなく、全身を覆っている筋膜の影響により、筋緊張が筋膜を通じて前頭部に伝わり、額周辺にも痛みがでることがあります。
この頭痛は筋肉疲労があれば常に痛みがでていることもありますが、特に一日のうち、体の疲労が出始める夕方頃から痛みが強くなる傾向にあります。
また目と首は神経反射回路でつながっています。目の酷使は眼精疲労だけでなく首周りの筋肉疲労にも関連し、頭痛を引き起こしやすくなります。

 

片頭痛

片頭痛はズキズキと拍動性のある頭痛で、なかには寝込んでしまう程、頭痛がでることもあります。キラキラした光やギザギザした光が見えたり、視野が欠けたりするような前兆を伴うことも少なくありません。発作中は嘔気嘔吐を伴ったり、光過敏や音過敏になることもあります。
はっきりとした原因はわっかておりませんが、脳内血管の周囲を覆っている神経が何らかの原因により炎症物質を放出することによって、血管の異常運動を引き起こし頭痛が発生するという説が有力とされています。
近年では脳過敏や不安定性が原因で片頭痛を引き起こすという考え方があります。

脳過敏とは片頭痛による長期にわたる鎮痛薬の乱用により、脳が興奮状態に陥ってしまう状態で、頭痛以外にもふらつきを伴うめまい、不眠、頭重感、耳鳴りなど多様な症状があらわれます。繰り返される片頭痛やそれに伴う多様な症状があれば、もしかしたら脳が興奮状態になっていることも考えられます。
片頭痛をかかえる患者さんの多くは首や肩の凝りをもっており、ある研究では首肩の圧痛と頭痛日数の減少は相関関係にあるという報告もあります。肩や首の過緊張が脳過敏を助長しているのか、または脳過敏が肩首の筋緊張を引き起こしているのか定かではありませんが、少なからず首肩周辺の筋と片頭痛には関係があります。

 

これまでの治療では頭痛の程度にもよりますが、治療を受けられた患者さんのほとんどは症状が緩解しています。
頭痛を抱えている方の多くはデスクワークや手作業など体の酷使により疲労が蓄積している状態であり、筋の過緊張をはじめ、体内の自律神経系、内分泌系、免疫系相互の働きが乱れやすくなっています。これらのバランスが乱れれば、頭痛だけではなくめまい、ふらつき、悪心嘔吐、手足の冷え、抑うつなど様々な症状があらわれます。
頭痛でも原因があります。頭が痛いからとやみくもに鎮痛薬を飲んで無理に症状を抑え込もうとしても、症状は軽くなりますが原因は取り除かれていません。鎮痛薬の過度な服用は病態が改善されないばかりか、段々と症状は悪化していきます。そうならないために適切な処置を受け、これまでの生活習慣を見直してみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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