お知らせ
繰りかえす頭痛
疲れていたり、ストレスが溜まっていたり、体調が悪い時に頭痛を感じたことがあるかと思います。
仕事を休むほどではないが頭痛が段々と強くなり苦痛を感じる方もいれば、階段の上り下りや歩いているだけで頭にガンガンと響き、痛みで仕事を休まざるをえない方もいて、人によって頭痛の出方や程度は様々です。
頭痛は日常生活でよく遭遇するありふれた症状の一つですが、国際頭痛学会の分類において、危険性が低い「一次性頭痛」と重大な疾患が隠れていて危険性のある「二次性頭痛」に大別されます。
一次性頭痛
日常一般的におこる頭痛のほとんどは一次性頭痛です。
- 緊張型頭痛
- 片頭痛
- 群発頭痛
二次性頭痛
疾患が原因で発生する頭痛です。
- 頭部外傷によるもの
- 脳血管障害によるもの
- 感染症によるものなど
これまで経験のない急激な強い痛み、悪心嘔吐を伴う頭痛、意識消失を伴う頭痛など、これらの症状は重大な疾患が背後にあり、緊急な処置を用します。
鍼灸治療で有効と認められるのは一次性頭痛の片頭痛、緊張型頭痛です。
緊張型頭痛
頭痛のなかで最も多くを占めます。緊張型頭痛は主に肉体的、精神的なストレスにより首肩周辺の筋肉の過緊張が原因でおこります。
首と肩の筋肉のほとんどは頭蓋骨についています。そして後頭部の知覚は大後頭神経が、側頭部は小後頭神経が支配していますが、これらの知覚神経は頚髄(脊髄の首の部分)から分かれ頸椎の外にでて、首の筋肉の間をかき分けながら上行し、頭蓋骨の後頭部や側頭部を走行します。
首肩の筋肉の過緊張は付着部の頭蓋骨に影響し、締め付けられるような頭痛を引き起こしたり、首の部分で大後頭神経や小後頭神経が圧迫することで、頭に「ピリッ」と電気が走るような頭痛が発生します。
緊張型頭痛は後頭部や側頭部だけではなく、全身を覆っている筋膜の影響により、筋緊張が筋膜を通じて前頭部に伝わり、額周辺にも痛みがでることがあります。
この頭痛は筋肉疲労があれば常に痛みがでていることもありますが、特に一日のうち、体の疲労が出始める夕方頃から痛みが強くなる傾向にあります。
また目と首は神経反射回路でつながっています。目の酷使は眼精疲労だけでなく首周りの筋肉疲労にも関連し、頭痛を引き起こしやすくなります。
片頭痛
片頭痛はズキズキと拍動性のある頭痛で、なかには寝込んでしまう程、頭痛がでることもあります。キラキラした光やギザギザした光が見えたり、視野が欠けたりするような前兆を伴うことも少なくありません。発作中は嘔気嘔吐を伴ったり、光過敏や音過敏になることもあります。
はっきりとした原因はわっかておりませんが、脳内血管の周囲を覆っている神経が何らかの原因により炎症物質を放出することによって、血管の異常運動を引き起こし頭痛が発生するという説が有力とされています。
近年では脳過敏や不安定性が原因で片頭痛を引き起こすという考え方があります。
脳過敏とは片頭痛による長期にわたる鎮痛薬の乱用により、脳が興奮状態に陥ってしまう状態で、頭痛以外にもふらつきを伴うめまい、不眠、頭重感、耳鳴りなど多様な症状があらわれます。繰り返される片頭痛やそれに伴う多様な症状があれば、もしかしたら脳が興奮状態になっていることも考えられます。
片頭痛をかかえる患者さんの多くは首や肩の凝りをもっており、ある研究では首肩の圧痛と頭痛日数の減少は相関関係にあるという報告もあります。肩や首の過緊張が脳過敏を助長しているのか、または脳過敏が肩首の筋緊張を引き起こしているのか定かではありませんが、少なからず首肩周辺の筋と片頭痛には関係があります。
これまでの治療では頭痛の程度にもよりますが、治療を受けられた患者さんのほとんどは症状が緩解しています。
頭痛を抱えている方の多くはデスクワークや手作業など体の酷使により疲労が蓄積している状態であり、筋の過緊張をはじめ、体内の自律神経系、内分泌系、免疫系相互の働きが乱れやすくなっています。これらのバランスが乱れれば、頭痛だけではなくめまい、ふらつき、悪心嘔吐、手足の冷え、抑うつなど様々な症状があらわれます。
頭痛でも原因があります。頭が痛いからとやみくもに鎮痛薬を飲んで無理に症状を抑え込もうとしても、症状は軽くなりますが原因は取り除かれていません。鎮痛薬の過度な服用は病態が改善されないばかりか、段々と症状は悪化していきます。そうならないために適切な処置を受け、これまでの生活習慣を見直してみましょう。