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2020 / 02 / 21  13:43

不眠症について

不眠症について

人生の3分の1の時間を占める睡眠。 

日中体を動かしている間、疲労物質や有毒な活性酸素は産生され続け、常に体は傷めつけられています。それに加えてテレビやインターネット、スマートフォンなどから得られる多くの情報量を処理するために脳がフル回転している状態でもあります。

睡眠は疲労をとるだけではなく、体に蓄積した有害物質を取り除いたり、記憶の整理をしたりと重要な役目を担っています。

体にとって寝ることは食事をとるのと同じくらい大事ですが、その一方で、人によってはなかなか寝つけなかったり、途中で目が覚めてしまったり、十分寝たつもりでも寝た気がしないなど睡眠に何らかの問題を抱えている人も多くいます。

 

体内時計

人間には1日周期において一定のリズムを刻む体内時計が備わっており、睡眠や覚醒、ホルモン分泌、自律神経活動、代謝などの生理反応が規則的に体内でおこなわれています。良好な睡眠を考えるうえで重要なのがホルモンであるセロトニンメラトニン、自律神経系の交感神経副交感神経のバランスであり、それらが一日を通して規則的に働くことで質の良い睡眠を促すことができます。

 

セロトニン
朝日を浴びると体内時計によりセロトニンが分泌されます。
脳内の神経伝達物質であり、主に感情や気分といった精神情緒の安定をコントロールしています。
セロトニンはメラトニンの原料となるためセロトニンの分泌量でメラトニン量も増減します。

メラトニン
セロトニンを原料として作られます。
睡眠ホルモンと呼ばれ、朝日を浴びると減少しますが、その15~16時間後に分泌され始めます。
メラトニンは明るい光で減少し、夜、分泌量が増えると眠気を引き起こします。
そのほかに抗酸化作用や抗がん作用があります。卵胞(卵子を包む袋)にはたくさんのメラトニンが含まれており、メラトニンの含有量は卵子や卵巣の質を左右します。

交感神経
日の出とともに働き始め、血圧、脈拍、血糖値、体温を上げ、体を動きやすいようにします。
通常であれば、夜になると交感神経の働きは低下します。

副交感神経
日が暗くなり始めると働きだし、明け方にかけて副交感神経優位の状態が続きます。
主に寝ている時や休息しているときに働きます。特に睡眠の質は副交感神経の働きに影響します。

 

 朝日を浴びると、体内時計によりセロトニン分泌が始まり、交感神経を刺激し目が覚めます。日中は交感神経が働き、日が沈んで暗くなると交感神経機能が段々と低下していきます。そして夜間はメラトニン分泌や副交感神経の働きが活性化され、その状態が夜通し続きます。一日の周期において働く覚醒系、睡眠系に関わるホルモンや神経系は他にもありますが、これらの神経系や内分泌系は体内時計によりコントロールされ、一日を通して規則的に機能しています。

 

体内時計の乱れの原因

文明社会になる前、人間は「日の出とともに起きて、日が沈んだら寝る」という生活を送っていました。また日中は適度に体を動かし、夜はゆっくりと体を休めて健康を保っていました。ところが高度に社会が発展した現代、照明機器、テレビやインターネット環境、スマートフォンなどがあり、それらは生活に豊かさや便利さをもたらしましたが、一方で、人間本来備わっている体内時計を無視した生活を送って不眠に陥っている人も少なくありません。連日連夜の残業、昼夜逆転した生活、運動不足は体内時計にズレを生じさせ不眠になりやすくなります。また複雑に入り組んだ人間社会において人間関係のもつれから体調を崩し、睡眠障害になることも多いです。

 

より良い睡眠を促すコツ

 

  1. 朝日を浴びる
    朝、太陽の光を浴びると体内でセロトニンが分泌されます。また睡眠ホルモンであるメラトニンは朝日を浴びることで減少しますが、その14時間~16時間後にまた分泌が始まります。寝つきを良くするためにはメラトニンが必要であり、しっかり朝日を浴びることでメラトニンが正常に分泌されます。

  2. 日中は体を適度に動かす
    睡眠のリズムは「睡眠欲求」と体内時計による「覚醒力」により成り立っています。
    日中、体を動かすことで身体と脳に疲労が蓄積していきます。疲労の蓄積は体にとって害になるものですから、疲労を回復するために体は睡眠を求めるのです。昼間に体を動かした分だけ疲労は蓄積していき、眠たくなっていきます。

  3. 副交感神経優位にする
    主に日中は交感神経が、夜は副交感神経が働きます。特に夜しっかり副交感神経優位に働いていれば質の良い睡眠が保たれますが、疲労やストレスの蓄積により交感神経が常に緊張状態の時は、寝つきが悪かったり、途中で目が覚めたりしやすくなります。起床時に動悸がしたり、昼間のだるさは交感神経の緊張が原因で睡眠不足になっている可能性があります。
    副交感神経を高める方法としては、40度前後のお風呂にゆっくりつかることです。血液の循環が良くなり、リラックスできます。また入浴は寝る前の2時間前に入ることをおすすめします。人は体温が下がった時(体が冷えた時)に眠たくなります。入浴で温まった体に恒常性機能(体温を正常に戻そうとする機能)が働き、急激に体温が下がるため、寝つきが良くなります。

  4. 生活習慣の改善
    もともと人間には体内時計が備わっており、一日の生活リズムを刻んでいます。つまり朝起きて日光を浴びたり、体を動かすことで体内時計は調整されています。夜更かし、運動不足、昼夜逆転の生活は体内時計を乱し、睡眠障害に陥りやすくなります。夜は遅くても12時前までには寝て、起床後は朝日を浴びましょう。

  5. トリプトファンを含む食事を心がける
    セロトニンの原料はトリプトファンです。トリプトファンは乳製品や味噌、納豆、しょうゆなどの大豆製品、動物性たんぱく質に含まれます。メラトニンはセロトニンからつくられますので、積極的にトリプトファンを摂取しましょう。

 

 睡眠障害における鍼灸治療の役割

睡眠障害は、中枢神経疾患や循環器疾患、精神疾患(うつ病、不安神経障害など)などの病気や、生活習慣の乱れや心身の疲労が原因で起こります。特にホルモンバランスや自律神経の乱れで不眠に陥ることが多いです。鍼灸の刺激により、脳内でセロトニンやメラトニンの分泌を促したり、交感神経の高まりを抑え、副交感神経優位にする効果があります。鍼灸治療はホルモン分泌促進や自律神経系を整えることでストレス性の不眠や精神疾患による不眠に対して効果的に働きます。
長い間不眠に悩まされている、疲労感が常にある、眠りが浅くて寝た気がしないなどお困りでしたら、鍼灸を一度体験してみてはいかがでしょうか。

和養鍼灸院
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